Vol.V]U




アイルランド編





ロンドン経由でベルファストへ。まずは4万個の六角形の玄武岩の石柱が作り出す不思議な景観、世界遺産ジャイアンツコーズウェーを観光しました。世界でも最大級の規模だそうです。アイルランドの巨人がスコットランドの巨人と対決するために向かおうとしたがあまりに体が大きかったために舟に乗れず自ら歩いていける道を作り上げていったという伝説の場所です。1986年にユネスコの世界自然遺産に登録、英国のナショナルトラストにも登録されています。荒々しく吹きすさぶ海風にあたりながら見るその光景は壮観でした。


















ダブリンでは聖パトリック教会を訪れました。アイルランドへキリスト教を持ち込んだのが聖パトリックです。パトリックはアイルランド中にキリスト教を布教することを初めて統治者から許可され広めました。この教会の主席司祭であったのがアイルランドの文学に大きな功績を残した「ガリヴァー旅行記」の作者ジョナサン・スイフトです。聖パトリックは、アイルランドの守護聖人で、その祝日は3月17日で、本国アイルランドをはじめ、アイルランド系の多くの移民が住むニューヨークなどのアメリカの各都市、イギリスなどで大きなパレードが行われ、現在でも盛大に祝われています。パレードの時には、パレードをする人も、見る人も、皆、緑の帽子や服を着用する、体の一部に緑色の何かをつけるのだそうです。3月ということもあり、本格的な春の到来を告げる季節のお祭りとしても人々に親しまれています。




















コングという街に佇む13世紀の古城アッシュフォード城に宿泊しました。ここは「静かなる男」の撮影時ジョン・フォード監督を初めとしてジョン・ウェイン、モーリン・オハラ等著名人がたくさん宿泊した世界屈指のホテルだそうです。部屋は築800年とは思えぬほどとてもきれいでかつての繁栄を思わせる豪華さがあり、またよく手入れされていました。緑と池のある庭園には折りしも花が咲き乱れとても美しかったです。
















クロマクノイズはアイルランドでもっとも神聖な土地とされていたケルト文化の大遺跡です。初期キリスト修道院跡で、548年に聖者キアランが建立した修道院がその起源です。当初は木造の小さな礼拝堂でしたが10世紀頃より石造りとなり立派な十字架であるハイクロスや高くて丸いランドタワーが作られていきました。異文化民族の襲撃を何度も受けて、その度に修復を繰り返してきました。初期のキリスト教文化の中心であった重要な文化遺産であります。ランドタワーは二つが現存していますが、1135年の落雷により先端部分が崩壊しています。時代の流れと変わらぬキリスト教の荘厳さを感じられる場所でした。




















現在のアイルランドは紀元前300年頃にヨーロッパからケルト民族の渡来をもって形成されました。ヨーロッパ中東部に端を発するケルト民族は勇猛果敢な戦闘民族であったそうです。彼らはアイルランドを1000年以上にわたって統治し、その言語と文化、芸術は現在のアイルランドに至るまで色濃く引き継がれています。その後12世紀にヴァイキングの到来、これに続くアングロ・ノルマン人の進攻を受け「聖者と学問の島」といわれたアイルランドの独創的な時代は終わりを告げ、数世紀に渡り、弾圧と搾取に苦しめながらもケルトの精神は音楽と口承文化という形をもって現在まで伝えられてきたそうです。多くの文学作品は英語を媒体としてそのすばらしい才能を作品に昇華させました。また、飢饉と貧困に苦しんだアイルランド人の多くは故郷を離れアメリカ、カナダ、オーストラリアなどに渡りケルトの伝統と精神を急速に広めました。アイルランドを訪れ、その歴史、文化と自然に触れ、ケルト独自の文化に出会えてとても貴重な体験をしました。








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